我が家には、2025年現在、5匹の保護猫がいます。
それぞれに個性があり、みんなかけがえのない存在ですが―
その中でも、ちょっと特別なエピソードを持っているのが、4番目にやってきた茶トラの男の子「ぽん」です。
大きな顔に穏やかな目つき。
どこか“おじさん”のような風格を漂わせるぽんですが、実は我が家に来た当初は“子猫”として紹介されていたという不思議な過去が。
さらに、まさかの“脱走劇”と“奇跡の帰還”という、猫との暮らしではなかなか体験できないような出来事も起こります。
今回は、そんなぽんとの出会いから現在に至るまでの、笑いあり涙ありのエピソードを綴っていきたいと思います。
はじめに|ぽんとの出会いが救ってくれた

我が家の「ぽん」は、正式には「ぽんすけ」という名前があります。
でも普段は「ぽん」と呼んでいて、この呼び名がぴったり似合う、のんびりとした茶トラの男の子です。
ぽんが我が家に来たのは、ある深い悲しみのあとでした。
先代猫の「うる」が旅立ってしまい、私たち家族の心は大きな喪失感に包まれていました。
私は食事も喉を通らず、体調を崩す日々が半年ほど続いたのです。
そんな私を見かねた主人が、ある日そっと言ってくれました。
「新しい猫を迎えてみようか。茶トラの仔猫がいいんじゃない」
それは、深い悲しみの中に差し込んだ、ひとすじの光のような言葉でした。
ネコジルシでの出会い|茶トラの若い猫…のはずが?

すぐに私たちは「ネコジルシ」という保護猫マッチングサイトをチェックし始めました。
そして見つけたのが、当時1歳半と紹介されていた茶トラの男の子。
写真を見ると、なんともおっとりした表情。
先住猫たちとうまくやっていけるかどうかを重視していた私たちは、その子の性格に惹かれ、トライアルを申し込むことに。

面談などを経て、いよいよ我が家へ。
キャリーから出たぽんは、すぐに用意しておいたケージの中へ。
頭がどーんと大きくて、思わず「え、ほんとに1歳半?」と笑ってしまったほどでした。
落ち着きがありすぎて、まるでおじさんのようで、とても仔猫とは思えない風格だったのです。

夜鳴きと不安|ぽんの胸の声の叫び

ぽんが我が家にやってきた初日から、とても不安そうなぽん。
でも、考えてみれば当然のことだったのです。
ぽんは元々、1年半もの間、外で自由に暮らしていた元野良猫でした。
その後、ボランティアさんに保護され、去勢手術を受け、安全な室内で暮らすようになったのですが――
やっと慣れてきた頃、今度は「新しい家族の元へ」と、また環境がガラリと変わってしまったのです。
知らない人間、知らない匂い、知らない猫たち。
ぽんにとっては、まさに「また何が始まるの?」という心配でいっぱいだったに違いありません。

猫は環境の変化にとても敏感です。
どれだけ穏やかそうに見えても、心の中には大きな波が立っていたはず。
「ごめんね、ぽん。急にいろんなことが変わって、びっくりしたよね。」
夜中に何度もそう声をかけながら、私たちはぽんの心に少しでも寄り添えるよう、そっと見守ることしかできませんでした。
でも私たちは、ぽんが安心して眠れるようになるまで、焦らずゆっくり向き合おうと決めていたのです。
野良に戻ったぽん
そんな新しい生活に慣れてきたと思った矢先の出来事でした。
ぽんが我が家に来て1週間経った夜、なんと、ぽんが外に出てしまったのです。
まさにトライアル中に「一番やってはいけないこと」を、私たちはしてしまいました。
とにかく信じられない気持ちと、焦りとで頭が真っ白になり、手が震えたのを覚えています。
毎日近所中を探し回り、ビラを配り、ぽんの名前を何百回も呼んだと思います。
泣きながら、「どうか戻ってきて」と願い続けました。
奇跡の帰還|7日目に起きた小さな奇跡
そんなつらい状況の中、ぽんがいなくなってから7日目。
毎日朝晩探し回って、今日ももう戻ろうと自宅の一本先の通りを歩いていたら、ヒョコッと何かが顔を出しました。
「ぽん??」
そこには…なんと茶トラが。

でも我が家の周りには茶トラが多くて、目撃のご連絡も多かったこと、そして1週間しか一緒にいなかったので本当にぽんなのか自信が持てず。
でもゴロゴロ言いながら近寄ってきて、ごはんを食べていた茶トラをみたら、やはりぽんでした。

しかし手を出すとサッと離れてしまうぽん。
もともと家でもそんな感じだったので、近づくと逃げてしまいます。
その後、3日目にやっと保護することができました。
やせ細ることもなく、怪我もせず、ぽんはどこかで楽しく散歩をしてきたような顔をしていました。

すぐに病院へ連れていくと、先生はぽんの歯を見てこう言いました。
「ん~、この子は1歳半じゃないよ。5歳くらいかな。」
びっくりしましたが、妙に納得もしました。
というのも、ぽんは本当に遊びません。走らないし、じゃらしにも興味がない。最初から「おじさん猫」感がすごかったのです(笑)
茶トラの仔猫を探していた私たちに来たのは…

子猫のような存在を求めていた私たちにやってきたのは、顔がでっかくて、落ち着き払った「おじさん猫」。
でも、そんなぽんだからこそ、良かったのだと思います。
ぽんは、心の穴を埋めてくれる存在でした。
走り回るわけではないけれど、そこに「いる」ことがとても大きな安心。
帰ってきてくれたことが、どれほど心を救ってくれたか、言葉にできません。
脱走劇から1年経ちましたが、本当によく戻ってきてくれたと、毎日感謝しながらなでなでしています。
今のぽん|おじさんらしく、でも愛される日々

今では、ぽんは我が家の一員として、穏やかな日々を過ごしています。
お気に入りの寝床でゴロンと横になる姿は、まるで日曜の午後のおじさんそのもの。
食べることが大好きで、ごはんの時間になるとしっかりと主張します。
他の猫たちとの関係も、時間とともに変化してきました。
特に、茶白猫の「チャッピー」はぽんのことが大好き。
いつもスリスリと甘えていて、まるでぽんのことを心の拠り所のようにしているようです。
キジトラの「ふーちゃん」とは最初あまり仲が良くありませんでしたが、最近は距離感を保ちつつも大人の対応ができるようになってきました。
ぽんのおおらかな性格のおかげかもしれません。
さいごに|ぽんが教えてくれたこと
「ぽん」という存在は、私たちにたくさんのことを教えてくれました。
茶トラの子猫を探していたはずが、大きな顔のおじさん猫がやってきて、外に行ってしまって、でも戻ってきて…そんなドラマのような日々のすべてが、私たち家族の宝物です。
ありがとう、ぽん。
これからも、ずっとよろしくね。

